「恋したいんだけど…!!!」




気付いたら声に出ていた。




私、沢原ひとみ。
カレシいない暦=年齢(18)である。
友達から「可愛い」とか色々言われる。
男子だって進んで物事をやってくれる。
いわゆる美女っていうやつだ。それなのに恋ができなかった。できないというより、した事がなかったため、どんなのかが分からなかった。


気付いたらもう高3だった。
いつの間にかクラスの大半がリア充だった。
いつか私も恋できる!と思って18年が過ぎていた。
笑う門には福来るなんて言うけど、ぜんぜっん来ない。むしろ、来るのは不幸だけ。



屋上で叫ぶ。
「あーーーー!なんでリア充ばっかなの!リア充のバーーカ!うちだって恋したいの!カレシ作りたいの!」




ガラララ………

「⁈」
叫んだのがばれたかもしれない。




「おい、てめぇか


リア充になりたいって言ったの」



あ、あああなたは!!!


クラスのモテ男、佐藤健一郎!
スポーツ出来るわ、勉強出来るわ、もう完璧だった。(性格を除いて)



「おい!!お前かって聞いてんだよ!」



健一郎の声で現実に引き戻される。



「っあ!」
ものすごく怖い。それしかない。


そうですけど…と、小さく呟く。



すると、


「ちょっと来い!」

「へっ!?」

抱きしめられた。




頭が真っ白。


そしてまたドアが開く。


「健一郎く〜ん♡どっこでーすかぁ」
それが理由か。ドワドワとメイクの濃い女子が入ってくる。
そういえば、健一郎はモテ男だったな、と思い出す。




「きゃーーー!健一郎君が!」
大げさな反応。


「悪りぃけど、俺はこいつと付き合ってんだよ、諦めてくんない?」



うんうん、これも演技か、付き合うねぇ、付き合う……



ん?!付き合う?!




顔が赤くなるのが分かる。



顔を伏せる。こんなに真っ赤な顔、見られたくない。


くいっ



あごを上げられる。
「ふぇ…」



キス。







の、ふり。




「ぎぇぇえええええ!健一郎君!!!」


女子を騙したコイツ。



笑わさる。「ふはっ」


「と、いうわけなんで!諦めろよ!」

女子に手を振る。仕方がないと観念したのか、女子も手を振り帰っていく。




静寂が戻る。


「そーゆーわけで、よろしく頼むな」



ちーーーーーーーーーーーーーん



私の初恋を、この人に捧げるというのか。マジかよ。



これからどうなんのかなぁ(泣)