三枝春人(さえぐさはると)課長、28歳。180センチはある長身。スレンダーで、細身のスーツを着こなし、黒縁メガネをかけてる彼は、いわゆるイケメンの部類。

その容姿とは裏腹に、彼女すらいないと言う優良物件。

さっき、三枝課長が言ったあいつらとは、きっと私をイジメてる彼女達の事だろう。

そんな彼女達に、三枝課長は狙われているという事はきっと知らないだろう。

…ん?待てよ?

こうやって、二人でいるところを彼女達に見られたら、またイジメられるかもしれない。

そんなのごめんだ。

「…三枝課長」
「…ん〜?」

私が座るベンチ。そこにもたれるように座った三枝課長は、背伸びをしながら返事をした。

「…1人でゆっくり食べたいので、どこかへ行ってくれませんか?」

そういいながら、少しだけ、近づいた体を離した。


「…根っからのいじめられっ子なんだな、清水さんは。そんなに心配しなくても、あいつらは外にランチに行ってるんだから、きやしないさ」

なんて、呑気な返事。

…人の気も知らないで。