動揺も何もない、勝ち誇ったような言葉。

まるで千尋先輩を自分の所有物のように言う高梨先輩に、思わず眉間に皺を寄せて睨む。


どうして千尋先輩にあんなに悲しい想いをさせておいて、離れないなんて言える?


仮に千尋先輩は「別れる」と、言っていたじゃないか。

それを留めているのはお前の方で・・・。

それなのに、なんでそんなに余裕なんだ!



「どうしてそう、自信満々に言えるんですか?」

僕は低い声で、なるべく冷静を保ちながらそう言った。


本当は飛びかかりたいくらいの怒りを自分の中に持っている。

けど、今はなぜそう言えるのか、高梨先輩の本当の気持ちを知りたい。

そう思って、怒りを外に出すのを堪えた。


「だって、アイツ色々言うけど、結局俺のこと好きだもん。俺が少し優しくしてやればすぐ機嫌も直るし、言うこと聞くしさ。それって、そういうことでしょ?」

「そういうことって・・・」


「それにさ、俺もアイツを隣に置いておいて損はないんだよな。なんたって顔もスタイルもいいしさ。連れていて恥ずかしくないし。性格はちょっとアレだけど、なんだかんだ言って都合がいい女」



――だから別れないよ?



と、そう高梨先輩は笑いながらハッキリと言った。