「ちょっとー、何笑ってるの?自分は志望校決まってるからってー」


「若菜は去年から楓女学園って決めてたもんね」


「うん、そう」


「「あったまいいなあ」」


2人の声が、視線と共にハモった。



真菜も亜子も、あたしの家が双葉園だってことは知っている。


学区内に双葉園があるわけだから、そこの子がこの中学に通うのは必然で。


時には「あの子はそうなんだって」、なんて、好奇の目で見られたりすることもあるけど。


中2で同じクラスになった真菜と亜子は、初めからそれを知っていてあたしと仲良くしてくれた。


特別な目で見ることもなく。


親がいないとか、施設で暮らしているとか。


そんなことは全く関係なく、普通に接してくれている。