そもそも僕が千尋先輩と出会ったのは今から6ヶ月程前の部活紹介でのことだった。
この学校に来たのは親友の真司がここを受けるって言ったから。
賢い真司と違って馬鹿な僕がこの学校に受かるのはかなりの勉強が必要で…。
一生分ぐらい勉強した。
推薦で決めた真司と違って僕は一般で受けた上にテストも全然ダメでギリギリで受かった。
自己採点で青ざめてたのが懐かしい。
入学して間もない頃、部活紹介というのがあった。
新入生歓迎会というものの中に組み込まれていて各部活が数分程度練習風景などを見せるというもの。
僕は運動は得意だけど部活には入るつもりはなかった。
だから真司と喋りつつぼんやりと見ていたんだけど先輩は一瞬で僕を虜にした。
先輩は弓道部の部活紹介で的に当てるのをやっていた。
生徒達が静まり息をのんで見守る中、先輩の放った矢は見事ド真ん中に当たった。
皆が拍手をしている中、僕は彼女から目が離せなかった。
凛とした態度、整った顔、すらっとした手足。
僕はこの瞬間恋に落ちた。
その時の僕には先輩しか見えてなくてもう1人歓声を浴びている人には目もくれなかった。
そこからの僕の行動は早かった。
やったこともなければルールも知らない弓道部に入部届けを提出し晴れて弓道部員に。
あの時は本当に浮かれまくって真司にも呆れられてた。
それは今でも同じだけど。