この男の方法はある意味、極端過ぎる。
(こんな本!こんな本!こんな本!)
この本の前はあれだった。
キスマー………、
「………っ」
頭の中でさえ最後まで言えなくて、頭を振る。
(思い出すな思い出すな思い出すなぁ!!!!)
昨日のことも思い出すな!
簡単に唇を奪われる乙女が、どこにいるっ!!!
そう思うと安堂くんは…やはり。
慣れている。
彫刻みたいな、お人形みたいな、色素の薄い整った顔をしているくせに、きっとヤることはとっくに済ませているに違いない。
(抱き着いた隙に人の乳が小さいとか考えてるエロだし)
7~8歳離れた先生と3年間も付き合っていたんだ。
(大人と付き合ってんのに、そゆことなかったとか言うわけない…っ)
きっと先生は、乳だって大きいんだろう。
くびれてて…。
なんたってスタイル抜群だし。
顔も小さいし。
美人だし、英語ペラペラだし。
(…新学期始まったらチェックしなきゃ)
―――て!
何かが変だぞ!
これじゃあまるで、何だか安堂くんのことが好きみたいだ。
元カノのことが気になってる、恋する乙女みたいだ!
(…恋する乙女…)
って、恋してる自分にうっとりしている場合じゃない!
そんなの、ダメだ!!
あたしは幸せな恋がしたいんだ。
そんなにかっこよくなくていいから、爽やかな男の子を好きになって、一生懸命片思いして(でも相手も実はあたしのことが好き、ってパターンで!)、告白しようと決意したら、逆に告白されちゃって…。
それから付き合うことになって、誰もが羨むアッツアツのラッブラブでイチャイチャモード全開で、それでそれでそれで…!
―――だから、つまり。