「頼まれたもの?…って、だれに?」

「菊葉の城下町の女の子だ。ほら、いつも一番前で踊りを見てくれている…」

「あ〜、あの地味な着物を着た女の子かっ」

「そうだ。あまり着物を持ってないと聞いたから、私の余った生地で着物を作ってやろうと思って」


2人が話す女の子とは、市のこと。


市は、由羅たちの移動商店が菊葉の城下町にくることを毎回楽しみにしていた。