募ったイライラをあからさまな膨れっ面で優羽にアピールしてみる。



「何怒ってんの光来? 今日は……あっ」



むくれたわたしを宥めるように笑った優羽が、持っていたカゴに鶏肉を入れ損ねて落とした。



「もぉっ……」



散々人をはぐらかしておいて何やってんだか……。



仕方なく足元の鶏肉を拾おうとしゃがみ込んだ時、



「今日……母さんも父さんも兄貴も居ないんだよ」



同時にしゃがみ込んだ優羽の手がわたしの手に重なりふわっと握られる。



驚いて顔を上げたわたしにこう言って、優羽は綺麗な顔でにこりと笑ってみせた。



「だから……光来」



……そんなこと言われたら嫌でも深読みしてしまう。



必死に返す言葉を探して口ごもるわたしに、笑顔を湛えたままの優羽が言葉をゆっくりと口を開いた。



「ご飯作って? 俺、カレーが良いよ」


「…………」



深読みしてしまった自分が恥ずかしくて、頬が急激に赤らんでいくのがわかる……。



そんなわたしの胸のうちを知ってか知らずか、


「こうやって買い物してたら……新婚さんみたいだね?」



わたしから買い物カゴと右手を取り上げた優羽が耳元で甘く囁いた。