「渚くん………」


あたしは、渚くんを振り返る。

渚くんは、夕暮れに照らされて、それでいて優しくあたしを見つめていた。


「あたしも……渚くんの傍にいたい」

「っ!!」


あたしは、さっき伝えられなかった想いを口にする。

すると、渚くんは驚いたようにあたしを見つめて、すぐにフワリと微笑む。


それはあの、あたしの好きな花のような微笑みだ。


「傍にいて、俺の大好きな人」


渚くんの手が、そっとあたしの頬を撫でる。

それは、暖かく包むような、それでいて儚い秋風のようだった。


「あたしを……救ってくれてありがとう。大好きだよ、渚くん」


あなたと出会えて良かった。

渚くんは、あたしの運命の人だった。


「ほのかちゃん、触れてもいいかな……」


渚くんの指が、乞うようにあたしの唇に触れる。

気を効かせてくれたのか、琢磨くんや優真くんの姿は見えなかった。


あたしは、そっと静かに頷く。


「あたしも……渚くんにもっと近づきたい」


離れていた時間は少ないけど、あの時はもう何年も離れていたかのような寂しさだった。


そして、あたしの顔にかかる渚くんの吐息に、自然と瞳を閉じた。


そして触れあう唇に、あたしはこっそりと涙を一滴ながした。

探していた幸せを、もう見つけた。

あたしの幸せは、渚くんの傍にある。
  

大好きです、渚くん。

あたしの心を、人生を変えてくれた人…。