もしかして琢磨くん、私が運動出来ないと思っていました…?



「練習してんの?」



「う、うん…まぁ…」




実は日曜は必ず運動の練習してる……。




「平山って何するのもスマートだよなー」



「別に…」



「お、沢尻エリカ様?」




私、あんな綺麗じゃないし…。




「…1対2…やるんでしょ……?」



「おーおー」



琢磨くん&私、VS 桜井くん。



二人でデフェンスで一人でオフェンスだって。




「いくぞー」




掛け声で迫ってくる桜井くん。



取ろうとして足をだしたけど、彼はボールをたくみに操って、



一歩引き、とらせまいとする。




「とってみろー(笑)」



何っ!?最後の(笑)って!!



ムカッとしながら私も取ろうとと心見るけど、



ーーーざっ!!




抜かれたっ!




琢磨くんに迫る彼。



琢磨くんはピッタリとくっついて、桜井くんは右往左往している。



二人とも上手いのが分かる。



兄弟でこうやって鍛えて来たんだろうな…。



ーー桜井くんはその後、シュートを決め、どんどん得点を重ねていく。



なかなか取れない私たち。



「だぁー!!くそっ!」


「へへーん」



琢磨くんは苛立ち気で。桜井くんは得意げだ。


「姉貴!協力していこうぜ」


「うん!」



私だっていつまでも負けるつもりはない!


「意地でも奪ってやる」


「私も抜かせない…っ!」


私と琢磨くんの中にメラメラと熱い闘志が芽生える。


なんだか意思が共通した。


「うおっ…!」


なかなか食いつく私達にのけぞる桜井くん。


今だっ!と思った瞬間。


琢磨くんは見事にボールを奪った。


「「……やった…」」


ーーーパチンッ!!


空の下で爽やかなハイタッチ。


「すごいよ。琢磨くん」


少し誉めたら琢磨くんはボッと顔を赤くする。


あれ?照れてる……?


「さ、サンキュー。姉貴も…その…上手かった…」


「あ、ありがと…」


やだ、私もなんだか照れてきた。


「くそー!二人ともコノヤロー!」


「うひゃ…ちょっ!」

「うわ!止めろよ!」


突然飛び付いてきた桜井くん。


三人でぎゅーと固まる。


「「「うわわわ」」」


と、誰かが体勢を崩して倒れ込んだ。


「い、いてー」


「うわっ…!桜井くんゴメン…っ!」


「アハハ、兄貴がクッションになってくれて助かったわ」


「琢磨重いわコノヤロ」


二人して笑い初めて後に大爆笑。

私もなんだか可笑しくなってきた。


ーーークス…っ…


「あ、笑った…」


「カワイ…」



「え…」


私、今笑った?


「平山、今笑ったよな…?」



「わ、笑ってない…」



「えっ!?絶対笑ったべ」



「…うるさい…」



桜井くんはニヤァーと笑う。


「プッ…平山が照れてる…」



だ、だまれー!!

不覚。平山さゆり、一生の不覚っ!!



ムスッとして琢磨くんに視線を向けたら


ーーーサササ!



座りながら後ろに動き、私から離れていく。



なに、その反応…器用だな。



目が合っただけなのに…。



私はメデューサか!