「はあ。明日はどうしようかな」


「どうした?美人がため息なんてついて」


明日の予定が白紙のまま、会社の屋上でお昼休みコンビニで買ったメロンパンを齧っていると、缶コーヒーを片手に課長が私の隣に座った。


「あっ、課長。お疲れ様です」


「お疲れ様。珍しいな、藤森がため息なんて。仕事のこと?それともプライベート?」


私は今、インターネットの工事の発注の仕事をしている。今、話しかけてくれた人は杉原翔真課長。


杉原課長は課長という肩書きなのに年齢も若く35歳。優しくて思いやりがあって気さく。それに責任感もある素敵な男性。


でも、そんな素敵な男性が当然結婚していないわけもなく、職場恋愛で結婚した愛妻家で二児のパパさんだったりする。



「課長。課長は奥さんとデートするならどこに行きたいですか?いや、デートというかその、二人でならどこに行くのがいいのかなって。私、ちょっとこじらせすぎて思いつかないんですよね」


「それって彼氏の話?俺なら奥さんとどこに行っても楽しいけど。でも、逆にどこにも行かなくてもいいな。家で美味しいご飯でも食べながら、まったりした時間を過ごすとか」


「そっか。確かにそれもいいですよね。別にどこかに行かなくたって、二人で同じ時間を過ごせたらおふたりさまですもんね」