マットを直せと言った俺の言葉に
真理子は何も言い返すことが出来ない。


悲しい目をして
じっと俺を見つめている。


仕方がないので俺は
自分で玄関のマットを



まっすぐに直し
真理子を見て、ため息をついた。



「何の話をしていたんだったっけ?」


俺がそう言った瞬間
真理子は涙をあふれさせた。


一粒一粒


涙が降り始めの雨のように
俺の家のカーペットに


落ちていくのを見て
俺は下を向いた。


「なんでそこで泣くんだよ」


そう言って
絶望的な気分になる俺。


しかし真理子は泣くのをやめない。



悲しい気分でカーペットをじっと見つめる。
泣きたいのは俺の方。


俺は真理子に
大きな声でこう言った。


「涙で汚したカーペットは
洗ってくれるんだろうな?」