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『リン!遊大が……!!』


『……え?』



それは本当に突然だった。



中学三年生の初夏。


その日、あたしは受験勉強の息抜きに獅鷹の倉庫へと遊びに来ていた。


貴兄はあたしを倉庫に残し、慧くんと嵐ちゃんと共に傘下の所へ。


時人くんは家の用事で倉庫には来ておらず、遊大は下っ端くん達と遊びに行っていた。



優音は有名私立校合格を目指し、朝から塾で猛勉強中。


あたしはと言うと、目指しているのは普通のレベルの公立高校で、優音の塾とは違うがそこそこ名の通った塾に通っていた。


朝から晩まで勉強に追われる毎日。あたしはそれに耐えられず三ヶ月で挫折した。


けど、これでも頑張った方だと思う。


だって、優音の通う塾には及ばないものの、あの進学塾で三ヶ月も続いたのだ。


それだけで凄いと思う。自分を褒めてあげたい。


まぁ、一番レベルの低いクラスだったけど。



その後、自力で勉強出来ないあたしは塾に行く代わりに家で貴兄に家庭教師をして貰っていた。


けど、貴兄も総長という立場上あたしの為に倉庫を空ける事は出来ない。


だからあたしも一緒に倉庫へ行き、そこで勉強を教えて貰っていたのだ。


倉庫に行くと貴兄だけじゃなく幹部全員いて、誰かしらに教えて貰える。



今日は倉庫に行く前から貴兄が用事ある事を知っていた。


今日来たのは勉強する為ではなく遊ぶ為。息抜きをしに。



貴兄達が出掛けて数時間後の夕方。


皆と散々遊び倒し、ちょっと休憩しようか、と言ってた時だった。


顔馴染みの男の子が倉庫に飛び込んで来たのは。