『殺しても……いいよ……』


あの時の気持ちは…今でも変わらない。


死ぬのは怖いけど、お母さんが本当にあたしを殺したいと思うのなら、窓から飛び降りるよ。


「お母さんの……ううん、由子さんのお友だちだよ」


あたしは、笑みを浮かべた。


心は泣いていて、軋んでいて、今にも壊れそうなくらいに痛んだ。


お母さんを守る為の嘘なら、いくらでもつくよ。

その度に、あたしが苦しむのは仕方のない事だから。


「そう…なら、話を聞いていってね」


そう、いつもこの夢のような、お母さんの望む世界の話を聞くのが日課。


もう二度と、叶う事の無い夢。


「うんっ……」


それを聞きながら、あたしはいつも、ポロポロと涙を流す。


その時だけは、お母さんが笑ってくれるから…それが嬉しくてなのか、苦しくてなのか…もう自分では分からなかった。