兵たちが口々に言うその言葉は、いつしか付けられた…由羅の異名であった。


闇夜に紛れて、ヒラリヒラリと華麗に攻撃を躱す姿は、まるで黒き蝶のようだ。


由羅の姿が目撃されるたび、人々はそう話した。


そしていつしか、由羅は…“黒き蝶”。

つまり、“黒蝶”と呼ばれるようになり、人々から恐れられる存在となった。


依頼のときは、皆マントを頭から被り、顔がバレることはない。