いないはずなのに、あの男の姿が見える。 いつだってあたしに声をかけてくる。 まるで、見えない鎖に繋がれているように……。 だから…鍵の無い檻の中にあたしはいる。 外へは出られたとしても、あたしはそれをしない。 『忘れるなよ、お前なんていつでも殺せる』 そう、この檻の外は、この檻の中より恐ろしい。 あたしはこの日から、感情の全て、心を檻に閉じ込めた。