突然話しかけられたと思ったらなんなんだろ。
目の前には背の高い男。
キャラメル色の髪から光が反射して眩しいーーー思わず目を細める。
「俺は海里。モデルをやってるんだ」
はい?
「その……モデルさんが何のご用で…?」
「君に会いにきた。」
「………」
ヤバそうだ。この人。
「……私、急いでるんで……」
「あ、待って!ーーーんじゃ、バイバイ。俺のファンたち!」
何故か私についてきた彼。ファンたちに手を振ると私の横に並ぶ。
「さーゆりちゃん?」
私の名前ーーなんで知ってるの…?
「……ついて…来ないでください……」
「ええーー!!ひどい。ストーカー扱いしないで!俺、仮にも君の兄だよ?」
はい?(本日、二回目)
「……私に…兄なんていませんけど。」
「だーから、義理の兄だって!」
ああ、そういうことか……。
「ーーあっ!!!」
「えっ!何!?」
海里さんがよそ見している間に全速力で家に向かって走る。
海里さんがきずいた時には、物陰に私は隠れていた。
「ええーー!!さゆりちゃんひどーい!」
…面倒臭い人には逃げるにかぎる。
さぁ。家かーえろ。
私を探している海里さんをよそにわざわざ遠回りして家へ帰った。