数学が終わり、私は2時間目の用意をしていた。


未來「…あれ?!教科書ない!!!」


確かにカバンに入れたはずの国語の教科書が…消えてる!!!!

なんで?なんで?なんでー?!


…もしかしてあの時…

『わっ、すみませ_____』

そうだよ!時雨とぶつかったとき!!

絶対あの時だよーっ……。

コンコン

噂をすれば、というものだろうか。

誰かが教室の扉を叩く音がした。


未來「し、時雨…!!」

稜呀「ペコリ」

未來「ペコリ)あの、なに?」

稜呀「いえ、、僕の理科の教科書をしらないかと思って。」

未來「知らないよ。てか私の国語の教科書知らない?」

稜呀「…いえ……」



時雨もしらない…?どうして…。

じゃあどこで落としたの?


未來「…じゃあ貸して。もうすぐ休み時間終わるから、貸してくれる人探す暇ないし。私も貸すから」


そういって、机の中から置き勉していた理科の教科書を引っ張りだす。

不思議そうな顔をしながらも、時雨は『ありがとうございます』といって受け取った。


未來「変なこと聞いて悪かったね。」

稜呀「いえ、助かりました!」


ニカッと笑うその笑顔に、不覚にもドキッとしてしまった。

そしてなぜか、胸のあたりが針で刺されたように痛む。でも…嫌な痛みじゃない。

なんなの。この感じ。


?「時雨くん!」

稜呀「はい?あ、僕ですか?」

?「うん!あのね時雨くん。わたしと付き合ってほしーの!」


…え。このタイミングで告白ですか。

今ここに、今さっきまで話してた相手がいるんですけど?

ほら、時雨も困って____っておい!!

こいつ、顔真っ赤にして照れてんぞ!!

…まさか時雨もこの女のこと?

格好と名札の色から察するに、先輩。
この容姿、学校の天使と呼ばれてる柊 薫子《ひいらぎ かおるこ》先輩?!

うっそー…そんな人から告白されるなんて…。

てかこの人って、クールな性格だって聞いたけど…まぁクールだからって告らないってわけじゃないもんね。うん。

なかなか返事を返さない時雨の顔を覗きこむようにして、柊先輩は自分の顔を時雨に近付ける。

…なに?このモヤモヤは。

こんな恋愛問題、私には関係ない。

自分の前でされたからって、相手がクールって噂なのに告ってるからって、相手が学校の天使だからって。

私には全く関係ない。

関係ない_____はずなのに。

なぜか時雨の返事が気になって仕方ない。

いや、普通なのかもしれないけど。
知ってる人が告られてるんだから、気になって当然なのかもしれないけど。

なぜだろう。心のどこかで願ってる。

『告白を受け入れないでほしい』

って。バカみたい、私。