静かに閉じられた扉を見ながら、グラディス王女はふん、と鼻で笑いました。
あんな娘、きっともう二度と会うこともないわ。

魔術使いにこき使われて、すぐにみずぼらしくなるんだから。臭い薬草の香りでもふりまいてたらいいんだわ。

あんな娘のこと、忘れてしまいましょ。

それよりも、よ。
グラディス王女は、銀の小箱の中の宝石を取り出して、ほぅっと溜め息をつきました。
私の誕生パーティーに間に合うように、急いで指輪を作らせましょう。そうだわ、同じような色の布でドレスを作ったら素敵だわ。
私の誕生パーティーですもの。うんと目立たなくっちゃ。


グラディス王女は宝石を光にかざしながら、来る誕生パーティーを思い、くすくすと笑いました。