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3ヶ月だけのママ〜友達が妊娠した17才の夏〜【完結】

 どうしたいの? という問いかけ。
 赤ちゃんをどうしたいの? という問いかけ。

 それは、赤ちゃんを産むか中絶するかという問いかけ。
 赤ちゃんを生かすか殺すかという、あまりにも重い問いかけ。

 そんな簡単に答えられるわけがない。

 お姉ちゃんだったら、絶対に問いかけられることのなかった質問に、胸が痛む。
 もしかしたらお医者さんぐらいは出産を希望するか聞いたかもしれないけど、友達や家族はぜったいに聞かなかった。

 動物だったら、選択の余地なんてない。
 授かれば自然の流れに任せるだけで、望んでも望まなくても生まれてくる。

 中には育児放棄する動物もいるらしいけど、中絶をする手段はなかった。

 なのに、人間はその選択肢とそれを行うだけの技術を持っている。
 どれだけ昔からその選択を繰り返してきたんだろう?
 いっそ、そんな選択肢なければ千奈美は悩まずに済んだ。

 啓子が選んだ、産まないという選択肢を千奈美も行くんだろうか?
 それとも、違う道を行くのかな。

 自分が中絶したことをみんなにあっけらかんとカミングアウトした啓子だけど、堕ろすと言った啓子の声は震えていた。

 もうとっくに吹っ切れているんだろうな、なんて……勘違いもはなはだしい。
 啓子は今、どんな気持ちで千奈美の前に座ってるんだろう。


「……ところで、最後に生理がきたのはいつー?」


 深呼吸をするような仕草をして、啓子が口を開いたときにはいつもの間延びした口調に戻っていた。


「えっと……」


 千奈美はぎこちない動きでスマートフォンを取り出すと、アプリを起動させる。


「五月の、十五日……」


 生理日を管理して、生理日を予測するアプリを見ているみたい。


「何日ぐらいー?」

「六日間……」


 こういう生理の話を普段からもよくしていたのは、女子校だからかな。
 あまり抵抗がない。
 生理痛が重いとか、二日目で量が多いとか、どのメーカーのナプキンがいいとか、そういう話も教室でしていた。


「千奈美って、生理不順じゃなかったよね? 五月の時は、予定通りだったの~?」

「うん……だいたい、いつもと同じ」

「そっかぁ……」


 千奈美の返答に、啓子はしばらく考え込む。
 なにを計算しているんだろう、なにかを指折り数えている。


「だいたい、八週目ぐらいかなぁ?」

「ハッシュウ……」


 不思議な呪文でも唱えるみたいに、千奈美がその言葉を繰り返す。

 妊娠八週目って、どういう時期だったかな。
 赤ちゃんはどれぐらい育っているんだろう。
 習ったはずなのに、思い出せない。

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