「あの刑事は来てねぇのか。我妻っつったか」

ゆっくりと席を立つ鬼首。

「ああ。下で蓮杖が足止めしてくれている」

「そうか…」

倉本の言葉に呟く鬼首。

「幾ら下部組織の跳ねっ返りのドチンピラがやった事とはいえ、組員(こ)の不始末は組長(おや)の責任。それが筋ってもんだろう。てめぇら警察が決めた暴対法なんぞに言われなくても、その程度弁えてらぁ」

鬼首はゆっくりと歩み出る。

「そういう意味じゃ、あの我妻って刑事にゃ詫び入れなきゃいけねぇとこだ…おめぇらから伝えといてくれや」

「…わかった。伝えておこう」

鬼首の伝言を引き受ける倉本。

「だが、それとこれとは話は別だ。三代目鬼首會組長、鬼首 春樹。警視庁本庁舎への爆破テロの容疑で同行してもらう」