「…あとね、メイさん」


「はい?」



「あなたは汚くなんかないです」



「……!」

目を見開く。

……聞いてられなかった。


自分のことを汚いと表現するのは。


「汚いのはルコーラであって、あなたはこんなに綺麗。
大丈夫、社長はそんな事であなたを嫌いません」


そっと、赤くなった肌を撫でる。

痛々しいけれど、汚くはない。


「私も、そんなことで嫌いませんよ」


「……っ、うぐっ、ひ、」


また顔をクシャクシャにして泣き始めた。

ぽたぽたと、塩分を含んだ水がお湯にまぎれていく。


「…………」


もう何も言えず、ただメイが泣き終わるのを急かさずに待った。


泣いた方が楽になるのではないかと思ったからである。



しばらくの間、浴槽に一人の女の子の泣き声が響いた。