「陽希、そんなにドキドキさせないでよ。私、ますます顔が赤くなる…。」


「悪い、言わずにはいられなくて…。」


抱きしめていた体を離す。


俯く姿を見つめると、ゆっくりと由依が顔を上げた。


「でも………」


「でも?」


「私、陽希がストレートに気持ちを伝えてくれるの、すごく嬉しい…。ありがとう。」


赤く染まった顔で、ニコリと笑う由依。


「お、おう。」


俺は、その一言を口にするのが精一杯だった。


「駅に急がなくちゃ…」


「………。」


再び歩きだした俺たち。


でも、今度は俺の方が喋らなくなってしまった。


多分、由依よりも俺のが顔が赤くなってるんじゃないだろうか。


だって、今のは…ヤバいだろ。


壮絶な可愛さだったんですけど。


不意打ち…とも言える由依の笑顔に、俺の鼓動は勢いよく鳴り響いていた。





〈真夏の勉強会〉end.