「カエデは友達としてはいい奴だけど、女にだらしないから…気をつけた方がいい」



シュウは私の胸の内なんて知らず、さっきの発言なんてなかったかのように普通の顔に戻って言った。

それが少し寂しく感じる。



「うん、ありがとう。気を付ける」


「それと、なるべく俺から離れるなよ?俺がいない時はなるべく早く帰ること。わかった?」



小学生に言い聞かせるような口振りのシュウ。


やっぱり私はまだシュウにとって特別な存在になれてないんだ、と思わされた。



「わかった」


「よし!いい子だ!」



そう言って、髪がバサバサになるぐらい乱暴に撫でられて、「ちょ、ちょっとぉ…」と髪を手櫛で直す。



「ははは!髪ボサボサ」


「もう!シュウのバカ‼︎」



……特別な存在になれてなくても。

私はシュウの側にいたい。


シュウといるこの時間が長く、長く続けばいいのに……


そう強く思った。