「先に伊庭の方の取り調べをしたが、アイツは駄目だな。雑談にも応じて来ない」

巽が言う。

亮二は無表情のまま、黙ったまま。

「一応お前には黙秘権がある…とは言っておく。散々殺り合った仲だ。今更揉めるのもウンザリだから、出来りゃあ素直に取り調べに応じて欲しいんだがな」

「……」

「んじゃ、始めるか」

巽は煙草を咥えて火を点けた。

「まず…何で環を狙った?」

「…松岡さんが向井 環に『仕事』の現場を目撃された。一般人に面が割れたら、口封じに消すのは当然の事だ」

人殺しを至極当然のように語る亮二。

この辺りからして、巽達と亮二の思考の違いが窺える。