ケータイ小説 野いちご

王道恋愛はじめませんか?




日曜日だというのに、私達が乗ったエレベーターは平日と同様、ぎゅうぎゅう詰めの満員状態。

男女比でいうと、8割女性社員といったところか。

先日の泊くんが言っていた、Shine目当てで残業消化を理由にした休日出勤をする社員が増えているといった話は真実だったらしい。

エレベーター内は四方八方から香ってくる香水の匂いで、軽く酔ってしまいそうなほど。


数秒後、エレベーターから総務部フロアに降りた瞬間、大きく息を吸い込んでしまった。

ああ……今日は何かと忙しそうだ。

そんな嫌な予感も脳裏をよぎるが、隣を歩く城田ちゃんはなんとも楽しそうだ。

社内見回りは電灯交換や、水回りの水漏れ修理など動きが激しい業務ばかりなので、私は動きやすいパンツスーツで出社したにもかかわらず、城田ちゃんはバリバリのスカートタイプ。

きっと今日は、どの部署の女性社員も仕事よりShineなんだろう、と考えるだけで憂鬱になる。


「……城田ちゃん、私達は見回り担当だから、Shineに会えるとは限らないんだからね?」


あまりにも浮足立っている城田ちゃんに釘をさすものの、


『分かってますって~!あっ、でも、特別応接室付近の見回りは、午後にしましょうね!』


完璧なスマイルを返されてしまい、何の効果もなかった。

特別応接室は、Shineの皆さんの控室として用意されている場所だ。

そして、彼らの撮影時間は午前11時から。

午後だと、撮影時間の合間の休憩とかShineの皆さんの動きもあり、会える確率も断然高くなるということだろう。

城田ちゃん……とんでもない策士だわ…。


「おはようございま~す」と、上機嫌に総務の扉を開ける城田ちゃんの後ろで、私は一層ゲッソリした。




< 56/ 190 >