「やだ~、このダサい男…こっちジロジロ見てるよ!気味悪い~。早く通り過ぎちゃお?」


女子は、嫌悪感いっぱいの顔で俺から視線を逸らす。


男子の腕をギュッと掴むと、足早に通り過ぎて行った。


そんなにジロジロ見てねぇだろ。


あからさまに嫌そうな態度しやがって。


小さくなっていく二人の後ろ姿を睨みつけた。


“ダサい”だの“気味悪い”だの、デカい声で言われたのは初めてだな…。


眉をしかめながら溜め息を零した。


フレームが少し歪んだ厚い黒縁メガネ、肩まで伸びた髪は…とかさないからボサボサ。


前髪もメガネにかかるぐらい長いまま。


だから、学校では…女子たちから失笑されたり、鼻で笑われたりする。


コソコソと小さな声で“ダサい”なんて言われることも、よくある。


そういうの、マジで鬱陶しい。


別に、俺がどんな格好していようが…アンタらに関係ないじゃん…って言いたくなる。