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「じゃーんけーんぽんっ!」


「あっち向いてホイッ!あっち向いてホイッ!……いぇーい!やったぁー!」


「くっそぉー。凛音もう一回!」



抗争が始まる約5時間前。


時間で言うと午前8時15分。


朝早くからあっち向いてホイッをしているのは、あたし、東條 凛音とプリティボーイ宮原 陽くん。


何故こんな朝早くからこんな遊びをしているかというと、それは今日、“D”との抗争があるから。


「りっちゃーん。俺とも遊んでー」


「いーよー。何するー?」


「あ、久し振りにダウトでもしようぜ」


「おっ。いいねぇ」


彼方がおもちゃ箱の中から出してきたのは十夜が買って来た“例”のトランプ。


「……プッ」


セーラームーン柄のトランプはやっぱり何度見ても笑える。


そして、これを十夜が買って来たと思うと更に笑える。


「りっちゃん、堪えろ」


「いや堪えなくても良いんじゃね?十夜いねぇし」


イシシと遠慮なく笑う陽に「そういやそうか」、と手を叩いて笑う彼方。


「俺、みちるさんとレイちゃん好きー。レイちゃんツンデレっぽくね?」


「俺ほたるちゃんとルナー。猫飼いたい!」


ダウトをする予定が何故かトランプを並べてお気に入りの子を探しているあたし達。


あたしのお気に入りはと言うと、勿論。


「タキシード仮面様!」


このお方しかいないでしょう!