山と海に囲まれた、豊かで美しいマチホ国のただ一人の王女様のお名前は、グラディスといいました。

御年15歳の、それはそれは可愛らしいお姫様。
腰までゆったりと流れる豊かなブロンドの髪はふんわりとカールし、降り積もったばかりの雪のように白い肌。大きな瞳の色は鮮やかなグリーン。こんもりと盛り上がった胸に、きゅうっとくびれたウェスト。

国王自慢の一人娘です。
ただ、一つだけ難点をあげるとしたら、お姫様は大層ワガママなお方でした。自分より目立つ女は大嫌い。

舞踏会でグラディス王女より目立つ女の子なんていたら大変、即刻会場から追い出されてしまいます。

流行りのドレスは一番最初に身につけなければ気が済みませんし、髪の結い方だってお抱えの髪結い師に毎日新しいものを考えさせているのです。

そんなワガママが通るのも、早くに王妃をなくしてしまった国王が、王妃の忘れ形見の王女を溺愛していたからなのでした。