「ソロウェディングなんて嫌に決まってるでしょ。何が悲しくて一人でドレス着て、結婚式挙げなきゃいけないのよ」

「だからそれは、雅が彼氏いないから、じゃなくて雅がうちのモニターに相応しいからよ。ほらっ、やっぱり美人がやったほうが宣伝効果もあるじゃない」

「そんなの私には関係ないし、やりたくない」

そう、花奈は私に究極のお一人様、ソロウェディングをやってほしいとお願いしてきたのだ。


そんなものお断りに決まってる。確かに一人の時間は嫌いではないし、大抵のことは一人でやる。


でも、ソロウェディングはどれだけ流行っていても無理。


「お願いよー雅。焼肉たらふく食べたでしょ?うちの職場が新たにソロウェディングを取り入れようとしていて、そのモニターが必要なの。ほらっ、あたしは彼氏、いるでしょ?」


「そういう正直なところ嫌いではないけど敢えて言わなくてもいいから」


箸で突き刺してお肉を頬張る。美味しい。確かに彼氏はいない。二年前に別れたきり。


別に今更未練もないし、お一人様も悪くない。27歳で独女でもそれなりに楽しく過ごせてる。


「彼氏がいたって、仕事だって割り切ったら出来るでしょ」


「それじゃ意味ないのよ。彼氏のいない独女が究極のお一人様を体験することに意味があるの」


「悪いけど、絶対に無理だから」


「・・・彼氏いないんだから協力してくれたっていいじゃない」


「・・・あのね、彼氏いない、彼氏いないって言うけど、私にだって彼氏いるから!あんたに言ってないだけで私だって彼氏いるのよ」