「美しい容姿は人を狂わすもんさ。男も女もね。
特に女はね、自分よりも美しい女を見ると反感を持つ。でもどこか欠点があると知れば、その分自分が優位であると思って気持ちが和らぐんだ。多少は優しくなるだろうよ」


「そんなものなの?」


「ああ。あたしだって女の端くれだからね」


パメラは片目を軽くまばたきしました。ウィンクをしたつもりのようです。


「男は、とりあえずはあたしの弟子に手を出そうとするとんちきはいないと思うよ。国王は別だけど、あの方は王女に夢中だからね。自分のプリンセスが一番だと思っているのさ」


「わかりました。じゃあ口をきいてはいけないのは、私の身を守る為なんですね?」


「いい子だ」


パメラは満足そうに頷きました。


「レイランまで馬車でひと月かかる。その間にお前が身を守れるくらいの魔術を教えてあげるよ。自分で身を守れるようになったら口をきいていいからね」


「はい! よろしくお願いします」


レオノーラはにっこり笑ってから頭を下げました。
そして、頑張って魔術使いになるんだ、そう誓いました。