やっとのことで教室にたどり着いたけれど、結城君の席は空席。

ボーッとしたまま席に座り顔を伏せる。

私のせい、なんだ。
私が彼の復帰を祈ったりしたから……。

もし応援したりしなかったら、焦らず治療して、万全の状態に仕上がるまで待ったのかな。


涙がジワジワ溢れてきた。

私が結城君の選手生命を台無しにしたの?


「榎本さん」


この声は雄介君だ。


「どうしたの? 体調悪い?」


雄介君が心配してくれたけれど、顔を上げることができない。

そのまま首を振り、机の上にポタポタこぼれた涙をこっそり手で拭いた。


その日、結城君はとうとう学校に来なかった。


「茜」


帰りのホームルームが終わると、理佐と泉が来てくれた。
きっと雄介君が連絡してくれたに違いない。