「達郎……ちょっと話せる?」


私は卒業生が終わった後、体育館裏に達郎を呼び出した。


「先輩とは話した?」


そう問いかけてくる達郎に、私は何も言わず首を横に振った。


「だったら先に先輩と話してからにしろよ。その後で話聞くから」


そう言って、私の前から去ろうとする達郎の腕を思い切り掴んだ。


「待って。私、先輩と話した後でもきっと結論は変わらないから……」


達郎が動く気配がないのを感じ取り、私は掴んでいた腕をそっと離した。