ケータイ小説 野いちご

期間限定の恋、はじめました。

そう、思ってた。


それでもなんで?
どうしてなんだろう。


こんなに大勢の人がいるのに、私の瞳は先輩の姿をすぐに見つけられるようにできてしまっているんだ。


先輩の姿を捉えてから私の視線は先輩から離れることはなかった。


先輩の背中をこうやってひっそりと人知れず見つめるのも今日でもう最後なんだ。


先輩が体育で楽しそうにサッカーしていた様子も眺めるのも。


友達とワイワイ騒ぎながら廊下を歩いている先輩とすれ違うことも。


全校集会で眠そうにあくびをしながらダルそうに立っている姿も盗み見るのも。


もう全部最後なんだ。


そう思うと、昨日あれだけ泣いたのに。


自分の体の中のどこにそんな水分があったのかっていうくらいに。


涙が溢れ出して止まらなかった。


そんな私の背中を依ちゃんは優しくさすってくれていた。




やっぱり私は───


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