「ふぅ…終わったね!って、外暗くなっちゃってるじゃん」

作業を終えた時には、午後六時。流石に、あたりは暗くなってしまっている。
私の家は、徒歩十分程度の位置にあるので、多分大丈夫であろう。

『そうだね。早く帰ろう!』

私たちは。暗くなって少し不気味な校舎を少し早歩きで抜けた。

「よければ、家まで送ろうか?」

『いや、悪いからいいよ!』

「こんな暗い時間に女の子を一人で帰らせるなんて、男として失格でしょ?
それに、先生に雑用を任されたってことは、結構家近いんでしょ?」

流石、委員長。私が家が近いから雑用を任されたことを、分かっていたようだ。

『はぁ…ごめんね。お願いしてもいいかな?』

勿論!と音符でもつきそうなくらい、軽快な返事をした委員長と、私は他愛のない話をしながら、校門へ向かった。

智也君のことを思い出し、少し痛む心を隠して…


『じゃあ、ここだから、ありがとう。じゃあね』

「うん!また明日」


その後、無事家にたどり着き、マンションのエントランスに入ったとき。

「あ、おかえり。」

まるで、飼い主を待っていた子犬のような目をした智也君が立っていた。

『な、なんでここにいるの?』

いたって、普通の質問をぶつける。
学校が終わってから、既に数時間経っている。それなのに彼は、制服のまま、私の家の前にいるのである。三十分ほどの時間を待っていてくれたのなら、とても嬉しいと思うのだろうが、今のこの行動は、少し怖く感じてしまった。