そして、私は一呼吸ついた。

蒼介は嬉しそうにしてたけど…龍は…うっ、睨まれてるっ?

「龍?もう、にらまないでよぉ~」と言ってみた。

龍は何も言わずに仕事に戻っていった。

何かあったのだろうか?最近、妙に龍の様子がおかしい…

ううん、最近じゃなくて…今日の昼から?

もしかして…龍も蒼介同様、動揺してるのだろうか?

それとも…焦り?私が先に講師になっちゃたからひがまれてる…とか?

そんなわけないよね!!

うん。そう信じたいけど…。

思考が頭のなかを巡り、顔は険しくなっていく一方で、

「大丈夫ですか?オーナー、とりあえず落ち着きましょうか?」と飛鳥が言ってくれる。

私はその言葉に少し救われたような気がした。

ゴメンね…龍の様子が気になるー

「わかってます、オーナーが店長のこと気になってるのは…けど、落ち着きましょ!!顔が険しくなりすぎてました」と飛鳥は優しく言ってくれた。

やはり、飛鳥には私の想いモロばれかぁ~

私は思わず苦笑した。

そうだよね!!弟だもんね…わかるか…ってもしかして私は分かりやすいのだろうか?

みんなに気づかれてたりして…

私はデスクに向かうとたくさんの資料を見ながら、雑務に追われたー

そして、終了したと同時くらいに、クラブは店を閉めた。

片付けを終えたみんなは帰っていくー

残されるのは…私たち、四人。

いつものメンバーだ。

「蒼介、急に決まったことでゴメンね!!私がいない間のここは店長と飛鳥に任せる。だから二人の言うことは聞くように…後ね、浩也さんに話はしてあるから何かあれば守ってくれるわ。心配なら飛鳥と一緒にウチに泊まりなさい」と私が言えば、蒼介は頷いた。

けど、涙目で私に抱きついてきた。

そんな蒼介を私は大丈夫大丈夫となだめるように優しく抱き締めた。

「俺だって、蒼介みたいな性格だったら、オーナーに抱きつけるのに…」なんてボソッと言う龍。

「店長、オーナーのこと好きですか?」と飛鳥は聞く。

「当然だよ!じゃなきゃとっくに辞めてる」と龍は言った。

「そう?ありがと。けど…」と私が言えば、

「何も言わないで下さい!!」と龍は言った。

しばらくして、私は二人を見送り、飛鳥と共に家に帰った。