首を横に振る。




寝室に二人。聞きたいこともあったので、ちょうどいい。




「なあ、お前なんでまやをここに連れてきた?」



いつかは来ると思っていた元敵の高林は、目を閉じて口を開いた。




「俺、人間界に行ったの知ってますよね。親に言われたんです。人間の勉強をしろと」



ゆっくりと、それでも覚悟がある声。




俺はゴクリと喉を鳴らした。



「俺は嫌いだったんです。自分勝手な親も、親に反撃できない自分自身も。
モヤモヤとする気持ちを抱えたまま、出会ったのは佐藤だった」



目を開いたと思うと、懐かしそうに目を細めた高林。



「こいつの弓道をやる姿、悪口言われても耐え抜くその根性、誰かを守る優しさ、先輩に反論できる勇気。
俺が持っていないものを佐藤は持っていた」



ああ、俺もそうだった。



あいつのお陰で仲間というものがわかった。