一生懸命な君だから。
君だからこそ、勝ち取ってほしいんだ。
「ラストスパートで絶対にもっと良くなるよ! 特に数学とか」と続けると。
「ん、ありがと。うし、やるしかないか!」
その目は、気合が入っていて、勝負にかける人のものに戻った。
「俺、滑り止め受けないことにしたし」
君は変わった。
そういう顔をしていたのは、部活のときだけだったのに。
浮ついた空気をまとわなくなり、表情が凛々しくなって、授業を受ける様子も真剣そのもの。
どんどん格好良くなっていく。
小さい頃は男女一緒に体育の授業や、近所の公園でバスケやサッカーなどをしていたけど、
いつの間にか男の子の方が、力が強くなって、かなわなくなってしまう。
当時は悔しかったんだけど、
その現実を受け入れてからは、自分が女の子であることを実感した。
男の子が本気を出す姿に、格好良さを感じてしまうようになったから。
時々手をとめて頭をかきながら、必死になって問題と向き合い、
もがいて、進んで、苦しんで、成長して。
懸命に道を切り開こうとする姿が、とても愛おしい。
君のことがもっと、好きになってしまった。