私は、ふぅ…と息を吐いて窓の外を見る。


今は午前十時。



窓の外には晴れやかな空が広がっている。





この町には、今までよりも長く滞在してるから、あと一週間でここを出るかもしれないと思うと、なんだか寂しい。





私は、そんな事を思いながらぐぅーっと背伸びをした。







その時だった。






テーブルに突っ伏してふてていたゼロが
ばっ、と顔を上げた。






「嫌な魔力を感じる………。」






顔がいつもより険しい。






“嫌な魔力”…?






「まさか、黒マントの男……?」





私が言うと、ジンが壁に寄りかかりながら答えた。







「…いや、この感じはおそらく………。」






その時、だん、とゼロが椅子から立ち上がった。






「…行くぞフィオネ、ジン。

……奴と会うのだけは御免だ。」






“奴”…?






頭の上に?マークを浮かべている私とは違い、ジンは「賛成。」と言って



すっ、と壁に預けていた体を立たせた。





私だけ状況を把握しきれてない。





部屋を出て行くゼロとジンに、私は急いで付いて行った。






その時、ふと見た窓の外には、


見覚えのある緑色のソリが町から去っていくのが見えた。