「魔獣の様子はどうですか?」




ドロシーがシャボン玉に向かって尋ねる。



すると、ゼロの声が答えた。



『遠くの方からすごい数の魔力を感じる。
……多分思ったよりも早く奴らがここに到着しそうだな。』




その言葉に、私とドロシーは緊張感を高めた。





いよいよだ……。





『フィオネちゃん。そこからゼロを応援してやって。

もちろん僕のこともね。』





ジンの声がシャボン玉から聞こえてきた。




ジンが言っていた“力を与える”って、このことだったんだ。





「わかったわ!二人とも無事に帰ってきてね!」




私はシャボン玉に向かって叫んだ。





すると、シャボン玉からゼロの声がした。



『一発でケリつけて帰るからな。

そこで見とけよ、フィオネ!

ドロシーを頼む。』






私は、シャボン玉越しに「うん!」と答えた。





その時、開戦を告げるような魔獣の雄叫びが、シャボン玉から鳴り響いた。