振り返った僕の目に映ったひとみさんは、ほぼ裸の格好をしていた。
下半身にはかろうじてだが、非常に面積の少ない下着を履いている。
ただ、上半身は肩からバスタオルを掛けただけで何一つ身につけていない。
幸い、その肩から下がったバスタオルの先が胸を隠していたから、ボクはふっ倒れずに済んだが。

「ん?お風呂入ってたから」

なにも悪びれる様子もなく彼女は答えた。

「せめてなんか着てください!」

ボクは彼女から視線をそらして言った。

「えぇ~、イヤだ。だって髪の毛まだ乾いてないし」

ひとみさんは、わざとこの状況を楽しんでいるのだろうか、茶化したような話し方をする。

「ボクがいるんですよ、服ぐらい着てください!」

真剣に怒鳴ってしまったため、ボクはつい彼女の方に視線を向けてしまった。
そしてギリギリ、バスタオルで隠れている胸に一瞬、視線を止めてしまった。
ほんの一瞬だったハズなのに、ひとみさんはそれに気付いたようだった。

「駿平君………ほら」

そう言って、彼女はタオルの端を少し捲り上げた。

あっ……………

一瞬だが鮮明にその全容がボクの脳に焼き付いた。