ボクの言葉に尚もひとみさんは笑い転げた。

「いやぁ、別に、迷惑なんてないわよ。たださぁ、ごめん、アナタの顔見てると、やっぱり公平ちゃんと被るのよねぇ。童貞の公平ちゃんなんて、想像できないもん」

なんだか、無性に腹がたつ。
普段のボクならきっと黙ってやり過ごすだろうけど、今日は違った。
きっと、酒の力ってやつなんだろう。

「だから、ボクはボクです!父とは別人なんですから!失礼じゃないですか!」

そんな怒れるボクを、ニヤニヤしながら彼女は見返した。

「アハハハ、駿平君、怒っちゃった?ごめんねぇ。お詫びに君さえよければ、私がいつでも筆おろしのお相手してあげるわよ。そしたら、まさに『親子丼』てやつねぇ。キャハハハハ!」

彼女の言葉に完全にボクはキレた。
そのまま、ボクは席を立ち上がり、この忌々しい空間から、真っ直ぐ出て行った。
背後から、さほど本気ともとれない謝罪の言葉が聞こえたが、ボクはそれを無視して自分の部屋に向かった。

あぁ~、もうイヤだ!
なんだよ、あの女!

やっぱり、ボクは女性が苦手だ。

だけど、本能的には大好きなんだけどね。