「行くぞ」


「うん!」



手を繋いだまま同時に走り出すあたしと十夜。


ちょうど走り出した、その時。



「……っ、ちょ……!?」



ガラガラガラ……ガシャン!!



突然、目の前の扉が動き出して、あっという間に閉まってしまった。


出入口から降り注いでいた光が遮断され、薄暗かった倉庫内が更に暗くなる。



ちょ……!嘘でしょぉぉぉぉ!?



「ちょっと誰!?開けなさいよ!!」



閉ざされた扉へと近付いていき、一寸の隙間もない扉を両手でドンドン叩く。


けど、いくら叩いても扉が開く様子はなく、それどころか人の気配すら感じない。



「十夜、どうしよう!?あたし達閉じ込められちゃった!!」


「……チッ。煌に電話するぞ」


珍しく動揺を露にする十夜に徐々に不安や焦りが募り始める。



……やられた。

まさか閉じ込められるなんて。


って、ちょっと待って。


「もしかして……」



奴等はこうなる事を予想してた?


じゃなきゃこんなにタイミング良くあたし達を閉じ込めたり出来る訳がない。


全て仕組まれた事だった……?


“あの時”、帰る間際にあたしに姿を見せたのはわざとだったの?