(良かった。分かってくれたんだ…!)


ホッとしたのも束の間、こんな言葉が返ってきた。


「ユイカちゃん、今日はおままごとの気分なんだね!」

「へっ⁉︎ 」


またしても呆然。

女性はニコニコしながら窓辺を離れ、キッチンの方へと向かって歩き出した。


「お鍋はあるかなぁ。それからナイフにまな板…お玉や杓文字もいるよねぇ…」


おままごと道具を揃えるかのような物色が始まった。
唖然とその姿を見つめるあたしは、既に彼女の思考の外に追いやられてる。


この症状には見覚えがある。
ついこの最近まで、こういう人達の生活に関わってきた……。



(まさか…)と思いながら、ゆっくりと彼女に近づいた。
あたしの姿を視界に入れた人が、大きめのボウルを手にしてやって来る。


「今日は何作ろうか?」


嬉しそうな顔をしている。
手にしているボウルの中には、ザルと泡立て器とラップと包丁が入ってる。

しかも、その包丁は出刃で、あたしはゾッとしてその人に言った。


「あ…あたし、今お腹いっぱい!おばあちゃんもさっき一緒にご飯食べたでしょ⁉︎ お料理はまたにして、他のことして遊ぼう!」


とにかく包丁の入ったボウルを手放せたかった。

彼女は「そぅお?」と呟いて、「だったらあやとりでもしようか? 」と、流しの上に持ってた道具を置いてくれた。


「ほぅ…」


息を吐いたと思ったら、今度は玄関へと向かって小走り。