中田を先頭に、倉庫内へと入っていく男達。


貴音の後ろには優音と遊大、そして工場の外で合流した慧、嵐、時人も居た。


中田、獅鷹幹部以外は出入り口付近で留まり、鳳皇幹部に近付いていく七人を固唾を呑んで見つめている。


鳳皇幹部の元へと少しずつ、そして確実に近付いて行く中田と獅鷹幹部達。


何百人と集うこの広い空間に、七人の足音だけが小さく響いた。




「──十夜、どうすんだよ?」



その足音を耳で捉えながら、十夜に向かってそう問い掛けた煌。


小さな足音が次第に大きくなっていくのを感じ、焦りが生じ始める。


煌の額にはうっすらと汗が滲み出ていた。


だけど、そんな煌の焦りを他所に、



「──変更はない」



十夜の口調は至って冷静だった。




「マジでイケんのかよ、コレ……」


鳳皇側の人間は全員煌と同じ事を思っていた。


当然だろう。


事前に伝えられた事。──即ち、鳳皇の“計画”は今の状況を見ると明らかに不利なものだったから。


緻密に練り上げられた計画は敵側に獅鷹が居ない事を想定して作られたもの。


敵側に獅鷹が居るとなると、折角作り上げた計画が全て台無しになる。


まさか、出鼻を挫かれるとは。


鳳皇側の人間はそう思わずにはいられなかっただろう。


けど、総長である十夜はこの状況下に置かれても計画を止めようとはせず、そのまま実行に移すらしい。


何か策があるのか?


メンバーは互いに顔を見合せ、探り合った。


けど、いくら探り合っても、そして、いくら考えても答えは導き出せない。