私は笑いながら首をかしげる。
「どうして?いつもテントで二人で寝てるじゃない。」
すると、ゼロは無言で私に近づいてきた。
「そう、無防備でいられても困るんだけど。」
藍色の瞳が色みを増す。
その言葉の意味がわからずにいると
急に体をトン、と押された。
支えがないため、あっけなく私は後ろに倒れこむ。
「……ゼロ?」
私の顔の前にはゼロの顔がある。
ゼロは私の顔の横に手をついた。
「…俺だって、魔法が解ければガキじゃねぇんだぞ…?」
ゼロは色みを帯びた瞳で私を見つめる。
二人は無言のまま数秒見つめ合う。
時計の針が進む音が鮮明に聞こえる。
沈黙の中、私はゼロの瞳を見ながら
ゆっくり口を開いた。
「……。魔法が解ければ、でしょう?」
そして、ふっ、と彼の顔を見ながら笑う。
私の反応に、ゼロは、はぁ、と息を吐いてゆっくりベットから離れる。
その顔は少し恥ずかしそうだ。
「あー…。早く戻りてぇ……。」
ゼロがぽつり、と呟いた。