ケータイ小説 野いちご

シンデレラの一族

顔つきが、違う。
女の子女の子してるというか、やけに愛らしいというか。


「けれども玉砕はわかってた。
彼には好きな人がいたからね

あ、あんたじゃないよ、椿ちゃんって子。

彼女は、村の神様である伊織兄を誑かす悪女として嫌がらせを受けていて、しょっちゅうボコボコにされてた」

「え…」

ボコボコ?

「村人にとって、白龍は絶対。
それを誑かす椿ちゃんは、悪者なの」


そんな。

狂ってる、そう言おうとして、やめた。
彼女も、村の一員なのだ。


「離れるか、引っ越せって。
ずっとそう言われ続けてきて、殴る蹴るの暴力を受けた。
それでも椿ちゃんは耐えた。
伊織兄にバレないように

そんなのを見てたらさ、私なんか敵わないってなるでしょう?」


あまりにも愛が深すぎて、近寄れなかったのだ。
だから彼女は泣く泣く退いた。

「伊織兄さんも好きだったみたいだし。

むしろ私は応援する側に回ろうって思って、このふたりがうまく行くように協力したの。
歌月兄と一緒に」

ああ、あの。
黒髪の子…だったっけ。

「…あいつ、協力していたのか?」

そこで口を挟んだのはおじさん。
微妙な顔を隠すように手で覆っていた。

「もちろん。村人に椿ちゃんいじめるなって、歯向かったヤツ片っ端からやっつけてましたよ」

「へぇ…そうなのかぁ。意外」

知り合いなのだろうか、その歌月くんとやらと。






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