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「ただいま、ジェノバ!!食べ物だよ!」



私は勢いよくドアを開ける。



すると杖をつきながら白いひげを伸ばした老人が奥の部屋からひょっこりと顔を出した。



「フィオネ…!また怪我が増えてるじゃないか…!

危険な事はやめなさいと言ったのに…。」



老人は心配そうな顔をして私を見上げる。


私は、にっこりと微笑んで、彼に答えた。



「大丈夫よ、ジェノバ。今日は殴られたりとかもしてないし…。


ほら!食べ物が手に入ったの!」




私は抱えているパンを差し出す。




「ごめんなさい。これしか持ってこれなかったけど、また盗ってくるから。


たくさん栄養をとって、ジェノバは早く身体を治して……!」




ジェノバは深く息を吐いた。


そして、私の顔を優しく撫でる。




「すまない…フィオネ……。


わしが病をこじらせたばかりに……。」




ジェノバは咳き込みならがら言った。