「何お前。辛気臭い顔して」



ぼんやりと賑わう広場を眺めていると、突然後ろから声が聞こえた。


振り返ると、何かの記念碑に寄りかかるようにして座る男の子。歳は私と同じ16歳ぐらいだろうか。


金髪の肩まである長い髪。前髪は右側だけ耳に掛けて、片耳だけで3個の小さいピアスが光っている。


目は細めだけど、綺麗な二重の切れ長の目尻。


鼻はスッと通り、薄い唇の端をニッと上げて、私を見据えている。



見た目はチャラそうだけど、顔はまだあどけなさが残る童顔だ。


顔は整ってるけど、カッコいいというよりもどっちかっていうと可愛いタイプ。



一度も会ったことも話したこともない私に、“お前”だの“辛気臭い”だの失礼な奴。


こういう人、本当に面倒臭い。


私がふいっと目を逸らし再び歩き始めると、金髪男は声を大きくした。



「ちょっとー!無視すんなって」



無視無視。ってか、うるさいし。


止まることなく歩き続ける。だけど。



「ねぇってばぁ‼︎」