「どうした? 気が変わったか?」

「違います。ただ、明かりを消していただけないものかと……」

「なぜ?」

「恥ずかしいからです」


 高宮は顔を真っ赤に染めて言った。だが、それは変だと思った。なぜなら……


「矛盾してないか? おまえ、さっきあっちの部屋で脱ごうとしたじゃないか。明かりが煌々とする中で……」

「さっきはどうかしてたんです。やけっぱちっていうか…… 今はとても恥ずかしいです。だから、お願いします。部屋を暗くしてください」


 高宮は、正に懇願するように言った。それはそうだろう。男に裸体を見られるのは、おそらく今夜が初めてだろうから、当然だと思う。さっきは意外に大胆だなと思ったが、やけっぱちだったとはな。おもしろいやつだ。しかし……

 俺にはそれを受け入れられない、ある事情があるのだ。


「そうか。解るよ、高宮。だが……ダメだ」

「なぜですか?」

「それは、俺は“見ながらしたい派”だからだ」

「そんなあ……」

「我慢しろ、高宮」

「分かりました」


 俺は、再度高宮を押し倒しにかかったのだが……


「ちょっと待った」


 俺は大事な事を高宮に言ってない事に気付き、それをとどまった。


「やっぱり出来ない」

「え? どうして……?」

「だって、おまえに言われたじゃないか。“好きでもない人としないでください”って」


 高宮は、その綺麗に澄んだ目を、たちまち涙で潤ませ始めた。意地悪が過ぎたな。


「嘘だよ。俺はおまえが好きだ。たぶん、一目惚れだったと思う」

「課長。私も好きです。そんな言葉じゃ言い尽くせないほど、あなたの事が……」


 俺は、再度高宮を押し倒しにかかったのだが……


「ちょっと待った」

「今度は何なんですか、課長?」